パートの違いについて

日本の賃貸住宅の多くは首都圏や大都市周辺の地主の個人的な生業にすぎない。
個人の生業だから企業としての採算を度外視する。そのため、市場で資金を調達して一定の利益を上げる必要のある企業は賃貸住宅市場に参入できない。
それから需要側にも賃貸住宅の整備が進まない理由がある。まず多くの人が持ち家志向である。
短期志向の人が多く、良質の賃貸住宅の家賃を非常に高いと考えている。例えば、月の家賃が40万円の賃貸マンションと7000万円の分譲マンションのどちらが高いかということだが、賃貸に20年住むと家賃が9600万円になり、分譲マンションの方が安いという考え方で分譲が好まれている。
つまり多くの人は賃貸だと20万円ぐらいまでしか払いたくない。40万円となると非常に高いと考えてしまう。
実際に7000万円の分譲マンションを20年のロ−ンで買うとどうなるかというと、金利を含めれば軽く一億円を超える。管理費や修繕費なども入れればさらに高くなる。

従って、本当は月40万円の家賃を20年間払い続けた方が安いのである。もっと長い期間を考えているというかもしれないが、40年も住み続けるかどうか分からないのが現実だろう。
需要側、供給側の両方の理由で、日本では持ち家偏向が増幅されている。もし将来の日本社会のあり方として、低成長かで高金利で、高齢化が進むというような場合、賃貸住宅が整備されることは非常に重要である。
政府が取り組むべき課題として、ひとつは賃貸住宅業者への融資制度の構築である。この場合、賃貸住宅業者に使い勝手の良い融資が適用されることが必要である。
いまひとつは、需要側、つまり居住者への税制優遇制度であり、これを育てられるかどうかは非常に大きな課題である。高齢成熟社会では生活者の移動に新しい社会的ニーズと新しい需要が生まれている。
高齢生活者の場合、個人差はあるが、体力にも限界があるし、事故の危険も高くなるため、自家用車による移動には不安がある。タクシーは知らない運転手では不安だし、近距離は嫌われ、重い荷物を持っていても面倒をみてもらえないなどサービスに問題がある。
公共交通はパスと電車だが、体力がなくなってくると停留所で待つのも、車内で吊り草にぶら下がるのもつらくなる。

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